調査診断
構造物の健康診断
人間と同様に、構造物も健康で長生きするためには、健康診断や診察が必要です。
インフラテックには、構造物の施工不良、経年劣化や災害時の被災度を正確に調査・診断する技術があります。
目視・打診
医師の問診に相当する基本的な調査です。しかしながら、構造物の現状を正確に把握するためには、コンクリートの浮きやひび割れの程度など、全体の状況を大まかに把握することが極めて大切です。目視と打診は双眼鏡やハンマーなど、簡便な機材で行いますが、その結果から、構造物の劣化現況を診断するためには、高度な知識と経験が必要です。
橋梁点検車による目視・打診調査
高所作業車による目視・打診調査
双眼鏡による斜面の防災点検
レベル測量による地盤沈下の調査
配筋探査
鉄筋コンクリート構造物の寿命は、内部の鉄筋の腐食で決まることがほとんどです。また、耐震性を評価したり、補修・補強設計を行うときには、配筋量や鉄筋位置、かぶり、径などを正確に知る必要があります。配筋探査は、コンクリートを一部撤去して、ノギスやスケールで調べることもありますが、ほとんどの場合、電磁波レーダーや電磁誘導探査機を使用します。
コンクリートレーダーによる配筋探査
地中レーダーによる路盤下空洞探査
超音波(弾性波)探査
病院のエコー検査にあたる調査方法です。低品質なコンクリートや劣化したコンクリートは、超音波を通しにくいため、超音波の伝播速度(音速)や受信波の大きさ(音圧レベル)、あるいは受信波の周波数分布からコンクリートの健全性を判断します。最近は、インパクトエコーという打撃音を解析することにより部材厚の測定や内部空洞の探査を行う装置も普及しつつあります。
超音波法によるひび割れ深さの測定
超音波法によるコンクリートの品質調査
サーモグラフィー
人間もケガや捻挫した部分の温度は上がりますが、構造物も異常がある部分は健全部と温度が違うことがあります。赤外線サーモグラフィーカメラは、遠くから撮影するだけで構造物の表面温度分布を測定できるので、安全かつ高速に構造物表面付近の異常を検出することができます。
サーモグラフィーによるトンネルの防災点検
サーモグラフィーによる壁画の劣化調査
圧縮強度(推定)試験
コンクリートには、さまざまな性能が要求されますが、圧縮強度が高いコンクリートは、他の性能も優れていることが多いので、圧縮強度は、コンクリートの品質の中で最も重要な指標と考えられています。圧縮強度は、シュミットハンマーなどの原位置試験で推定されることもありますが、現場で採取したコアを圧縮強度試験にかけることが一般的です。
シュミットハンマーによる原位置試験
採取コアの圧縮強度試験
局部破壊試験
コンクリートの中性化深さや鉄筋径・鉄筋腐食度など、非破壊検査で正確に知ることが難しい調査項目は、局部破壊試験により測定します。コア採取やはつりが一般的です。
中性化深さ測定
鉄筋径・かぶり・鉄筋腐食度測定
その他
塩分含有量の測定、アルカリ骨材反応の詳細な分析、配合推定試験、その他原因不明の化学的劣化現象などは、現地調査以外に粉末X線回折、偏光顕微鏡観察、電子顕微鏡観察、EPMA画像解析など、化学的な分析を要することがあります。インフラテックの設備だけでは対応できない専門的な化学分析は、公的な認証を取得した試験機関に分析を依頼します。